2015年2月27日、DAAD・JSPS共催による今年はじめての学術講演会が開催されました。今回は、グードルン・ニーヘス氏(Frau Dr. Gudrun Niehues)シュテファン・フンクナー氏(Herr Dr. Stefan Funkner)がテラヘルツ帯分光の様々な応用法を紹介くれました。

テラヘルツ帯分光と聞くと、物理学や化学の専門家の間だけでとりあげられるテーマのように思われますが、今回の講演では冒頭から、テラヘルツ波が私たちの日々の暮らしのなかで大切な役割を果たしていることがすぐ明らかになりました。宇宙観測をはじめ医学、セキュリティテクノロジー分野など、テラヘルツ帯分光の応用範囲は広がり続けています。

テラヘルツ波は様々な物質を透過するだけでなく収束・拡散する特性があるため、見えないものを可視化できます。メディアで取り上げられて誰もが知っているフルボディスキャナーは、空港で利用されることが多くなってきていますが、このスキャナーにもテラヘルツ波の特性が生かされています。空港での保安検査では、テラヘルツ波が衣服を透過しても人体は透過しないため、隠し持った武器やその他の危険物を可視化できるのです。最新の手紙爆弾検知器も同じ原理で、危険物を迅速かつ簡便に発見できます。また、医学分野にもテラヘルツ帯分光は重大な進歩をもたらしています。エックス線照射と異なりテラヘルツ波照射は人体に無害だからです。たとえば、歯科では隠れた虫歯の発見に、皮膚科では皮膚がんの早期発見にすでに応用されています。

WGK参加者は、両氏の講演のおかげで、テラヘルツ帯分光と聞いて「難しそうな言葉」というイメージを抱くレベルからは少なくとも脱することができました。
講演後は熱心な質疑応答の時間となり、講演者のお二人は参加者からの多数の質問に丁寧に応えてくれました。参加者からは「電子レンジの電磁波はそれほど強力ではありませんが、電子レンジのすぐ前には立たないでください、と使用説明書に記載されているのはなぜでしょうか。」という興味深い質問がありました。この質問に対しては「電子レンジの電磁波は金属製の容器で遮蔽されますが、心臓ペースメーカーのように弱い電力で作動する機器は電子レンジから出る電磁波の影響を受けることがあるからです。」という説明がありました。質疑応答後、懇親会に移ってからも「テラヘルツ帯分光」にまつわる話題はつきませんでした。

講演者紹介:ニーヘス氏とフンクナ-氏は共にボーフムのルール大学で化学および物理学の博士号を取得。その後JSPSの長期研究奨学金を取得して来日。2年前から福井大学 遠赤外領域開発研究センターに在籍。同センターは1999年設立、2008年よりテラヘルツ研究に取り組む。

アドリア-ネ・ヤ-ノッシュ
研修生
翻訳: R. K.
DAAD Tokyo
2015年3月